New Century at New York City Page 3
この年末年始のニューヨーク旅行記第2回目、今回はミュージカル編です。ミュージカルを初めて見たのが、やはりニューヨーク、「オペラ座の怪人」でした(1994年2月)。それ以来、ニューヨークに行く度、ミュージカルを見に行ってます。いや、ミュージカルを見るためにニューヨークに行く、と言った方が正解かも知れません。前回(99年11月、新婚旅行)、今回と妻を巻き込んでのミュージカル三昧でした。
5. ミュージカル
今回の旅行のそもそもの動機が「Miss Saigonを見る」ことだった。でもそれだけじゃもったいないし、ということでChicagoとRiver Danceを見ることに。
1) Miss Saigon (12/29/00, Broadway Theatre)
役 | 出演者 | |
Kim | Melinda Chua | |
The Engineer | Luoyang Wang | |
Chris | Michael Flanigan | |
Ellen | Jacquelyn Piro | |
Thuy | Edmund Nalzaro | |
John | Charles E. Wallance |
NYCに着いたその日に、くたくたな身体で見に行った。実は31日にも見ることになっていたので、寸前まで見るかどうか迷っていた。席が2階席だったのも迷った理由。しかし、結論から言うと2階席でも十分満足。2階席から見ることで舞台全体を見渡せ、今まで(1階席から見ていたときには分からなかった)役者の動きなどがわかった。また、劇場の構造のためだろう。役者の声もオーケストラの演奏もはっきり聞こえる。
主役(Kim)のMelinda ChuaはBroadwayデビュー。前はMiss Saigonの全米ツアーでKim役をやっていた。しかし声が細く、デュエットなどでは他の役者の声に負けている。
The Engineer役のLuoyang Wangも、この日は声の調子が悪いのか、高音では声が出にくかったようだ。この人の演じるThe
Engineerはもう4回ぐらい見ているが、やっと演技に味が出てきたと思う(上の主な出演者で31日にも演じていたのはこの人とJohn役のC.
Wallanceだけ)。
この2日後、31日にもMiss Saigonを見たが、全体的に役者のレベルは31日の方が上だったと思う。同じLuoyang
Wang氏の演技も、31日の方が良かった(と思う)。
2) Chicago (12/30/00 Shubert Theatre)
役 | 出演者 | |
Velma | Jasmine Guy | |
Roxie | Charlotte d'Amboise | |
Billy Flynn | Clarke Peters | |
Amos Hart | P.J. Benjamin | |
Mama Morton | Mamie Duncan-Gibbs |
大雪の日、12/30に見に行った。2年前、US$150と言われてあきらめたのだが、今回もUS$90と、他のショーより高めの値段設定。でも中にはいると満席だった。
このショーは舞台セットがほとんど変わらず、ストーリーが分からないとちんぷんかんぷんになりかねない。そういう人のためか、入り口に英、仏、中、日など各国語でストーリーを書いたパンフレットがあった(おかげで何とかストーリーが追いついた)。
このミュージカル、実は今回見たショーの中では最大の収穫だったと思う。歌もダンスもすばらしく、Bob
Fosse独特と言われるダンススタイル(帽子をかぶり、背中を丸め…)にすっかり見入ってしまった。ダーティーな役柄が多い反面、ちゃんと笑いを取るシーンやセリフがあり、また舞台上のジャズオーケストラ(舞台の上のひな壇に演奏者が座っており、その間から役者が出入りする)の指揮者まで"Ladies
and Gentlemen..."と口上を述べたり…ととても凝った演出だった。
舞台が始まるとき、袖から役者が"Ladies and Gentlemen"、さらに2幕目が始まる前(Inter'actの音楽が流れる前)にも"Ladies
and Gentlemen"と、なかなか心憎い演出だった。
Bob Fosseスタイルのダンスは初めて見たのだが、とても素晴らしかった。なお、隣の劇場ではBob
Fosseのダンスを集めた"Fosse"が上演されている。
3) Miss Saigon (12/31/00, Broadway Theatre)
役 | 出演者 | |
Kim | Lea Salonga | |
The Engineer | Luoyang Wang | |
Chris | Will Chase | |
Ellen | Ruthie Henshall | |
Thuy | Michel K. Lee | |
John | Charles E. Wallance |
図らずも1日置いて、同じMiss Saigonを見ることになった。20世紀最後に見たミュージカルがMiss
Saigonで、21世紀最初に見たミュージカルもMiss Saigon、とはならなかったが、この日のMiss
Saigonが最大の目的だった。
もともと、このショーは2000年12月31日で閉演になる予定だったが、それが2001年1月28日まで延長になった。しかも12月31日からは初演で主役(Kim)を演じたLea Salongaが復帰することになった(New York Timesでも全面広告が出ていた)。この日のショーは、The
EngineerとJohnを除くと、主な役は全て役者が入れ替わっていた。
Lea Salongaの復帰が大々的に宣伝され、Lea Salonga一色になりそうだが、Leaと一緒に相手(Chris)役にWill Chaseも復帰。この二人はフィリピンでのMiss Saigonでも演じており、クリスマスイブのマチネ(昼間)公演を最後にニューヨークに戻ってきたとのこと。なお、99年1月にLea Salongaが最初の復帰を果たしたときも、Chris役はWill Chaseだったと記憶している。話題性のある人が復帰したことで、この日の客席は満員。Lea Salongaが舞台に上がると歓声と拍手があがる(歌の最中なのに)。
この日のMiss Saigonのサブテーマは「強い女性」(^^;;;)。Lea Salonga演じるKimは視線をキッと正面に見据え(これは多分、Leaのスタイルだと思うが)、強い意志を持ったKimを演じ、一方、Ellen役のRuthie
Henshallも夫(Chris)に詰め寄り、持っていたメモ書きを投げつける…。それに対しChrisは優柔不断さが目立つ(元々そういう役なのだが)。
それはさておき、この日の舞台は、現時点でのベスト・キャストか?と思うぐらいに出来が良かった。過去見たどのMiss
Saigonよりも素晴らしかったと思う。
やはりLeaの歌声、演技の細かさ、うまさは他のどのKimよりも秀でていたと思う。また、Thuy役のMicheal
K. Leeは童顔ではあるが歌、演技共に非常によかった。Ellen役のRuthie HenshallはChicagoでRoxie、Velmaの両方の役をやっていたとか。そりゃ強い女を演じるわけだ(違うって)。
残念だったのはChris役のWill Chaseのマイクにトラブルがあったこと。最初からバリッ!と雑音が入ったりしたが、1幕目の途中からはほとんど使い物になってなかったのだろう。Lea
Salongaとのデュエットでは、Leaのマイクで二人の声を拾っていたようだ(ChrisとKimが離れると、とたんにChrisの声が聞こえなくなった)。その後は問題なかったが…。
この日のカーテンコールでは、一番最後にLea Salongaが出てきた(普通はThe
Engineer役が最後に出てくる)。1階席はほぼ全員が立ち、2階席もかなりの観客が立って拍手をしていた。カーテンコールで写真を撮る客がかなりいた。ええんかいな?
演じる人によって歌い方、細かい演技が違ってくるのは当然だが、数回のMiss
SaigonとCDを比べてみると、演奏(というかアレンジ)がまた少しずつ違ってきていることに気づいた。歌詞とメロディーは同じでも、使う楽器、演奏者、指揮によってまた少しずつアレンジも変わってくるのだろう。
これでMiss Saigonは見納めとなるのだが、アジア系に対する無理解がにじみ出たり、タイの歓楽街をたむろする日本人(背広を着ていた)を揶揄するようなシーンが気になるが、好きなミュージカルだった。閉演は残念。
4) River Dance (01/02/01, Gershwin Theatre)
Les Miserablesの10周年記念コンサートビデオに、River Danceのビデオの宣伝があった。一度見てみたいなぁと思っていたのだが、ちょうどBroadwayで上演していた(帰国してからDVDも買った)。
席は最前列の本当に真ん中。オーケストラは舞台の横にあり、客席最前列から舞台まで本当に1mぐらい。ところがこの席で寝てしまう私(^^;;;)。どうも私は、ストーリーがないショーでは寝てしまう傾向があるらしい(Smoky
Joe's CafeとCatsでも寝てしまった)。1幕目は半分居眠りモード。
観る前は、延々とアイリッシュダンスが続くのかと思っていたが、アイリッシュダンスは半分ぐらいで、ロシア風の踊りあり、ヒップホップ風タップとアイリッシュダンス風タップの競争あり、フラメンコあり、さらにコーラス、バイオリン、バクパイプの演奏あり、と結構盛りだくさんのプログラムだった。ノリのいいダンスや音楽の時は、私も目を覚まして一緒に拍手をしたりしていた。
ただ、個人的にはストーリーがしっかりしているミュージカルの方が好きだな。
というわけで、ミュージカルだけで結構長い文章になってしまいました。わはは。ああそうそう、River Danceの劇場の向かいに、"Broadway Church"という教会があるのですが、これが劇場をそのまま教会にしてしまったものらしく、最初は教会を舞台にしたショーをやってるのかと思ってしまった。