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9. Sarasota, FL ホームスティ
1) 1996年12月29日
ホストファミリーの車に乗り込み、一路、家のあるSiesta
Keyに向かう。ホストファミリー(Jack、Anne)曰く、気温は25℃ぐらいだけど海は15℃ぐらいで、泳ぐには冷たすぎるとのこと。ただプールでは十分泳げるとのこと。それを見越して日本からしっかりと水泳パンツを持ってきている。少し日焼けできればいいけど。
車はSarasota市内をどんどん進んでいく。過去2回の訪問時は暗くなってから着いたので気づかなかったが、Sarasotaにも黒人の多い地域がある。アメリカの他の街同様、建物が古く比較的古い車が多く、何となく薄汚れた雰囲気がする。この地域を車は突っ切っていく。大体30分ぐらいでSiesta
Keyにつながる橋に着いた。この橋はフロリダ半島とKeyの間の細い水路にかかっているが、水路に面している家にはクルーザーがあり、また、家自体の値段もかなり高めとのこと。たしかにさっきの黒人の多い地域とは対照的に、しゃれたデザインの大きい家が並んでいる。Siesta
Keyに入ると5分ぐらいでホストファミリーの住む家に到着。
Jackがビールをくれ、Anneが昼食にサンドイッチを作ってくれる。庭で昼食を取りながら四方山話。思い出すと、この2人が87年の秋に、滋賀県大津市の私の家に1週間のホームステイをしてから、もうすぐ10年になる。彼らが未だに元気であることは本当に喜ばしいことである。
昼食後、しばらく休憩した後、Jackと二人でビーチを見に行く。砂が白く、本当にきめが細かい。また、ペリカンがあちこちに飛んでいる。
この日の午後はゆっくりと過ごした。夕食はAnneの手作りである。食事が終わり、今でソファーに座りながらテレビを見る。僕も一緒に見ていたが、急速に眠くなったので2人にお休みを言い、ベッドに入った。8時台だったか。まだ時差ボケが全然とれていない。
2) 12月30日
午前4時に目が覚め眠れない。仕方がないので「地球の歩き方」を読んで時間を潰す。6時ぐらいにもう一度寝てしまったが、7時半に目を覚まし、朝食を取る。朝食が終わるとソファに移り、新聞を読む。今日は一人でRingling
Museum of Artsに行く事になった。どうもJackとAnneは昼間に何か用事があるようだ。
AM9:00ぐらいに車で美術館に向かう。この美術館はサーカスで成功したJohn
Ringlingの個人収集を公開している。(ただし現在は公営である。)また、隣接してCircus
Museum、Banyan Cafe、そしてJohn Ringlingの住居だったCa'd'Zanがある。
美術館でJackと別れ、絵を見始める。この美術館はコの字型の建物の両翼に絵を飾ってある部屋が並んでいる。中庭は南国風の植物に彫刻や噴水があり、なかなかいい雰囲気である。中庭は後回しにして、まず絵の鑑賞。あまり有名な絵はない。ただ、絵の水準は(地方の美術館、しかも元は個人収集にしては)悪くない。僕の好きな宗教画も多く展示してあり、ゆっくりと見て回る。それでも45分ぐらいで片翼の全ての絵を見てしまい、中庭にでた。外は今日もいい天気、12月であることをすっかり忘れるような暖かさである。もう片方の翼に移る前にちょっと中庭で一休み。写真も撮っておこう。
15分ぐらい休憩した後、再び建物へ。入ったところが美術館のおみやげ屋だった。5分ぐらい絵はがきやポスターを見た後、となりの部屋へ。こちらの翼は30分ぐらいで全ての絵を見てしまった。再び中庭にでてぶらぶらする。その後絵はがきを買いにおみやげ屋に。2、3枚絵はがきを買っただけでこの美術館を出る。
美術館の脇の歩道を進み、Circus Museumに向かう。主な展示物は、サーカスの衣装、サーカスのミニチュア、サーカスの裏方についての展示(実物の馬車と数々の道具が飾ってある)、サーカスについての新聞記事などである。John
Ringling(正確にはRingling兄弟とその一座)についての記事も結構ある。新聞記事(19世紀末の物?)には「親指トム」、「シャム双生児」等々。また、人間ロケットの大砲を積んだ車の展示などもあった。ゆっくり見て回って約1時間。そろそろ昼食の時間だ。Circus
Museumを出た。
この敷地で唯一食事がとれる場所、Banyan
Cafeに向かう。Cafeの前にはホットドッグのスタンドが出ているが、迷わずCafeに入る(これが20歳の頃なら間違いなくホットドッグで済ませていただろう)。Cafeではコーヒーとサンドイッチ(結構大きかった)を頼んで$9.50(税、チップ込み)。ウエイトレスの愛想が良かった。
食事を済ませて外に出ると、バニヤンの木がある。妹尾河童の「河童の覗いたインド」にもバニヤンについての記述があるが、実物を見るのは初めて。気根を珍しそうに見、写真まで撮ってしまった。
最後はCa'd'Zanである。これはJohn Ringling(夫婦)の住居であるが、現在改装中で足場が組んである。中にはいると、あと10分ぐらいでガイドツアーがあるという。このツアーは2階には行かないので先に2階を見てしまう。1階に戻ると、ツアーを待つ人たちが約15人ほど集まっていた。ツアーでは、年を取ったおじさんがあちこちの部屋についての説明をしてくれた。台所には電気冷蔵庫がある、と書くと普通に感じるが、この建物が建てられたのはたしか19世紀末か20世紀初頭である。また、大きなコンロには、"Westinghouse"のロゴがあった。この建物が改装中なのは、暴風雨のためにあちこちが壊れたため、とのこと。 また、"Ca'd'Zan"とはベネチア方言のイタリア語で"House
of John"とのこと。ツアーが終わると、テラスに出て海を眺めた。海の向こうにはKeyが見える。本当にいい気分である。
この後30分ほど敷地をぶらぶらした後、ホストファミリーに電話をかけ、迎えに来てもらう。ふと時計を見ると午後3:30ぐらいだった。30分ほど美術館の正門の前で迎えを待つ。横では黒人のおじさんが同じように誰かを待っている。このおじさんは黒人が何人か乗ったバンに乗ってどこかに行った。これから仕事だろうか。
迎えの車が来ると、僕はSiesta Keyに戻っていった。この日もやはり時差ボケのせいか、PM8:00ぐらいにベッドにダウンしてしまった。
3) 12月31日
この日も朝4時に目が覚める。やれやれ。また「地球の歩き方」を読んでいた。
8時頃朝食。食事の後Public Beachを散歩。膝を痛めて2月に手術を控えているAnneは途中で帰り、Jackと二人で約1マイルを往復する。ふと海を見ると遠くにパラグライダーが浮かんでいる。朝9時半頃だが、もう身体を焼いている人たちがたくさんいる。Jackが指さす方を見ると、イルカが何匹か泳いでいる。ここは冬を過ごすにはもってこいのところである。
散歩から戻ると、プールで一泳ぎ。でも早々にプールから出ると後は身体を焼いていた(でも全然日焼けしなかったけど)。
AM11:30頃に家に戻り、三人でお出かけ。行き先はSiesta
Keyの北側にあるLong
Beach Keyの、シーフードレストランである。一度Sarasotaに入り、そして別の橋を渡ってLong
Beach Keyに入る。詳しく見たわけではないが、どうもSiesta
Keyより高級な家が多そうである。
1時間ぐらいで目指すレストランに着く。海に面し、船着き場がある。本当に船で来る人がいるのか、と思っていたら、何組かクルーザーで来ている客がいた。(なかには小さなモーターボートで来た人もいたが。)レストランではエビ料理を頼み、ついでにビールを飲んだ。(どうもSarasotaに来ると昼間からビールを飲んでしまう。)
食事の後船着き場に行き、写真を撮る。ペリカンがたくさんいるので、ペリカンをバックに写真を撮ってもらう。Jackの説明によると、頭の白いペリカンはまだ子供で、頭が羽と同じ色(枯葉色?)になると大人である。時々、魚を捕るため、ペリカンが海に突入する。バシャッ!と大きな水音をたてて飛び込んでいる。
Long Beach Keyを北上し、最北端に近いところにある橋を渡る。ところが橋に近づくにつれ、渋滞がひどくなった。ノロノロ運転で橋を渡ると、渋滞の原因が分かった。橋の上で追突事故があり、そのために交通規制をしていたのである。この後1時間ぐらい走ってSiesta
Keyに戻った。
家に戻ると、JackとAnneの結婚50年記念パーティーの写真を見る。家族親戚一同が集まり、盛大なパーティーだったようだ(この夫婦はWisconsinにも別荘を持っている)。そのあと、僕の妹の結婚式の写真とビデオを見せる。「キリスト教徒でもないのに、教会で式を挙げるのは何故?」と聞かれ、答えにつまる。この2人が妹に会ったのは87年。当時、妹は高校生だった。
夕食が終わると、テレビを見ている。PM9:30から"Frasier"を見る。この番組は83年から93年まで絶大な人気を誇った"Cheers"というコメディードラマの続編である。ドラマで出演者が何を言っているかわからないことが多く、英語力の低下を実感した。"Frasier"が終わると、シャワーを浴びてお休みである。明日はAM9:30のフライトでNew
Yorkに戻る。早く寝よう。
4) 1997年1月1日
何の感動もなく、元旦の朝になった。アメリカでは普通の祝日である。朝食を済ますと出発の準備。AM8:30ぐらいに家を出る。次にこの家に来るのはいつだろうか。
AM9:00ぐらいに空港に着き、チェックインする。コミューターのゲートとAAのカウンターが離れているのは不便である。チェックインの後、2人に別れを告げ、ゲートにはいる。振り返ると、2人が手を振っている。本当に、次に会えるのはいつになるだろうか。そのときは2人とも元気にしているだろうか。何時間か後には、冬のNew
Yorkに戻ってしまう。ずーっとSarasotaにいたい気がした。