96年12月〜97年1月、久しぶりのアメリカ旅行その2

6. December 27, 1996, New York, NY

1) ホテルへ
 タクシーはQueens Tunnelをくぐり、Manhattanに滑り込んだ。思ったより車は多くない。ちょっと遠回りをしてタクシーはMarriott Marquisに到着、$35と共に、チップを$5払った。そこで例のカップルとはお別れ。予約しておいたホテルに向かい、ピギーバッグをゴロゴロと引っ張りながら街を歩く。1年半の間になにが変わっただろう。またなにが変わっていないだろう。そんなことを考えながらちょっと早足で歩く。42nd & BroadwayからRockefeller Centerの紀ノ国屋前を通り、5番街へ。ちょっと北上し、51st St.を東に歩く。ずーっと歩くと52nd & 3rdの角に出る。信号をわたったところに24時間営業のDeliがある。これを知っておくと何かと便利。また51stを歩く。ちょっと先にどこかの国の国旗が飾ってある。建物には英語とキリル文字で「ウクライナ共和国国連常駐代表部」とあった。ふーん、と思いつつ歩いていると7件隣にお目当てのホテルがあった。

Hotel Pickwick Arms
230 E. 51st St. New York, NY 10022
Phone: 212-355-0300
Fax : 212-755-5029

 このホテル、入り口はそう大きくない。ロビーも大きくないがまあまあきれい。右手にはツアーデスクまである。(デスクが一つあるだけだが。)早速チェックイン。僕が予約したのはバス、トイレを隣の部屋と共用するShare。料金は$60/Night。912号室のカードキーをくれる。小さな割にしっかりしてるなーと思いつつエレベータで9階に上がる。薄暗い廊下を歩き、部屋に到着。開けてびっくり、ではないが非常に古い建物と言うことがわかった。結局扉だけをカードキーに変えただけ。共同のバスルームはシャワーしかないし、バスルームの扉はふつうの鍵しかなく、セキュリティーもあったものではない。一応バスルーム側から入られないように、ピギーバッグでドアを開きにくくする。(あまり効果はないだろうが。)あとで、隣の部屋にも男性が泊まっていることがわかった。

2) チャイナタウンへ
 時計を見るとPM12:00を少しすぎた頃。飛行機の中でほとんど寝ていなかったのでとても疲れていたが、今寝ると時差がとれないので無理して出かけることにする。行き先はChina Town。目的は台湾語のCDを探すこと。出口の階段を上ると、マクドナルドの前に出た。平日なのに非常に混雑している。人混みの中、Canal St.を東に向かう。途中、屋台を見つける。売っているのはビーフン、焼きそば、焼きめし、春巻き、チキンなど。どのメニューも安い。急に空腹を感じビーフンを頼む。結局飛行機の2回目の食事は朝食の役目しか果たしていなかった。$1で結構な量が来たが、全く肉が入っていない、野菜と卵のビーフンだった。歩きながら食べたが、あまりおいしいものではなかった。

3) 金豊大酒楼
 Elizabeth St.で右に折れる。左手に「金豊大酒楼」がある。これは地元の人に人気のある飲茶レストラン。エレベータで2階に上がるととても大きなスペースがある。研修中に出張者や友人を連れて何回か来たことがある。安くておいしかったのだが、95年にNHKが中国の特集を放送したとき、このレストランが「中国人不法入国者を$1-$2/hourの低賃金で雇い、奴隷労働をさせている」として報道されていた。多分かなりたたかれたのだろう、「金豊大酒楼は労働基準法を遵守する」と英語と中国語で書かれた垂れ幕が外壁にかかっていた。果たして本当に遵守しているだろうか?

4) 台湾語のCDを探す、その後ホテルに戻る
 この通りの角にCD屋がある。ここで台湾語のCDを探す。全体的に台湾語のCDは数も少ないし古いものが多い。ただ、台湾の北京語CDは充実していた。広東語CDはもっと充実している。あきらめてChina TownをぶらぶらしながらほかのCD屋に向かう。China Townはこの1年半あまり変わってないな、という印象。Canal St.にある土産物屋兼CD屋に入る。ここは北京語と広東語のCDのみ。あとは適当に街をぶらぶらしていると急に睡魔がおそってきた。時計は3時半ぐらい。考えてみると、藤沢をでて以来24時間近く寝ていないことになる。もう我慢できず、ホテルに戻ることにする。地下鉄の中では居眠りしないようにがんばっていたが、ホテルの部屋にはいると即ダウン…したかったが、元研修先のオフィスに電話をかける。お目当ての日本人出向者は年明けまで休暇中、とのこと。電話を切るとすぐに眠りに落ちていった。

5) 夕食とSamuel Adams
 電話を切るとちょっと空腹、角のDeliに夕食を買いに行く。中華、チキン、サラダをとり、ビールに"Samuel Adams"(Boston Lager)を買う。$9.00ほど払った。ちょっと高かったかな。僕の物価基準はイリノイ州の田舎、CarbondaleやChampaignにある。田舎と比べると、NYCの物価は「信じられない」ほど高い。しかも円安である。ホテルの部屋で食事。TVはRCAのオンボロだったが、ケーブルが入っていて30チャンネルほど入る。"Cheers"が見たかったが、多分、そんな時間まで起きていられないだろう。CNN Head Line NewsやMSNBC等を見る。あるチャンネルでは中国語の放送(台湾のニュース)をやっている。チェックインしたときには日本のニュースをやっていた。食事を終え、ビールを飲む。(本当は順番が逆なのだが、日頃の癖でビールは食後に飲んでいる。)久々のSamuel Adamsに感動する。アメリカに来てよかった、とビール一本で思ってしまう。
 食後にPhiladelphiaの友人に連絡。「是非遊びに来るように」との言葉に負け、1/5にPhiladelphiaに行くことを約束。次にBostonの友人にも電話。さすがにBostonまで行く余裕はないため、友人には「次の機会に」という。さて、次はいつになるやら。電話を終えるとそのままベッドに横になりボーっとTVを見ていると、いつの間にか眠ってしまった。確か夜中に明かりとTVを消したはずだが、何時だっただろうか。 

7. December 27, 1996, New York City, NY

1) 起床、メトロポリタン美術館へ
 朝8時、目が覚めたところでシャワーを浴びる。結構長時間寝たので体は軽い。身繕いをすませるとデイバッグを持って1階に降りてゆく。ホテルに付いている小さなレストランで朝食。 朝食を食べながらどこに行くかを考えていたが、Metropolitan Museum of Artsに行くことにした。ここなら半日ぐらい平気でつぶせるだろう。地下鉄の駅に向かい、今度はUptownの入り口を降り、やはりTokenを2枚買う。一緒のホームには日本人女性の3人組がいた。さて彼女たちもMMAか、と思いつつも声はかけなかった。ほどなく列車が来たので乗り込む。86th Stで下車。彼女たちも降りたところを見るとやはりMMAねらいか。地上に上がると彼女たちが道路の反対側にいてどちらに行けばいいか迷っている様子。「先に地図で調べとけよな」と思いつつ一人で美術館に向かう。この態度が彼女ができない原因の一つではないか、と最近思う。

2) メトロポリタン美術館
 MMAは土曜日ということもあり、結構人が多い。クロークの出口に入場券(ワッペンみたいなもの)売場があり、ここで入場券を買う。(前はこんなところにはなかったのに)入場する前にフロアープランを取る。日本語の方がわかりやすいが、あえて英語版を取る。
 入場するとすぐに2階に上がる。僕の好みはルネッサンス期の宗教画と印象派絵画である。見学を始めるとすぐにどの部屋を見たかわからなくなってきた。フロアープランに部屋割りが書いてあるので、見た部屋毎に印を付けてゆく(もちろん絵もしっかりと見ている。)。30分ぐらいで見覚えのある絵に出くわした。Panniniの絵で、絵の中にローマのあちこちの絵があるもの。この絵は18世紀のものでそこまで古くはないが、ローマがこのころから変わっていない(というと言い過ぎかもしれないが)ことがわかる。
 しばらく(2時間ぐらい?)して宗教画やルネッサンス絵画を全て見てしまうと、次に印象派のコーナーに移動。ゴッホ、モネ、マティスなど、有名な絵が並んでいる。僕の一番好きなのはモネ。ここでも2時間ぐらい絵を見て回る。そろそろくたびれてきた。それに10時半ぐらいから4時間ぶっ通しで絵を見ている。ここらで切り上げて昼飯にしよう。とりあえずホテルの部屋に戻る。しかしその前にミュージアムショップに行くことにする。ポスターを見ているとPanniniの例の絵がある。以前来たときはポスターも絵はがきもなかったので迷わず買ってしまう($16.95+Tax、T/Cで支払い)。

3) ホテル
 地下鉄でホテルに戻る。途中のDeli(昨夜とは別のところ)でサンドイッチとDiet Cokeを買う($6.50)。部屋に戻る前にツアーオフィスでタクシーを予約をする。明日朝5時に、行き先はNewark Airport。$45。高いが仕方ない。(実際はタクシーではなく、リモだった。)
 部屋でサンドイッチを食べ終わると、どっと眠気。昼寝。今夜はミュージカル(Miss Saigon)を見るので7時には起きなければ。
 

4) Miss Saigon
 
途中何回か目を覚ましたが、結局7時に目を覚ます。特に空腹でもないので夕食はパス。
 ちょっと早めにホテルを出る。歩いてBroadway Theatreへ。早足で歩くこと約10分。時計を見るとまだ7:30にもなっていない。まだ入場できないし外は寒いので、近くのSheraton New Yorkのロビーで時間をつぶす。7:30に再び劇場に向かい、チケットをピックアップ。入場する前にSouvenir Programを買う。実は"Miss Saigon"を見るのは3回目。以前もこのプログラムは買っていたが、内容が少し違っている。
 中にはいると会場係に席を案内される。前から10列目ぐらいの右端の席。舞台は斜めにしか見えない。会場はほぼ満員。パンフレットに出演者の名前と写真がある。前回見たとき(1年半前)と同じ人は一人だけ。John役のNorm Louisだけ。端役にEmy Baysicの名前を見つける。彼女は以前、主役のKimをやっていたはず(ただし、代役だったが。)
 5分ほど遅れて会場が暗くなり、音楽が始まる。今回のChris(主役の恋人役)はちょっと背が低いな。The Engineer役はちょっと役不足。非常に難しい役だけに、今回のThe Engineerは単なる「小者」でしかない。これでは主役を食ってしまうほどの演技はできない。とはいえ、ストーリーは変わらない(あたりまえ)。歌も変わらない(これまた当たり前)。結局、最後のシーンで涙を(また)流してしまった。我ながら涙もろい。
 帰る前に"Miss Saigon"のCD (Complete Recording)を買う。$50.00。今日はちょっとお金を使いすぎたかな。

5) 一日の終わり
 
ミュージカルの歌を口ずさみながらホテルに戻る。ホテルの近くで"Tomato Tomato!"と叫びながら歩いているおばあさんがいた。いったい何だったんだろう。部屋に戻るとシャワーを浴びる。そのあと荷物の整理をし、AM4:30にモーニングコールを頼む。明日はSarasota、暖かいフロリダの地だ。ホストファミリーとも約2年ぶりに再会できる。寝過ごさないようにと祈りながら眠りについた。